インフルエンサーマーケティングとは|代表的な施策や費用目安を解説
インフルエンサーマーケティングの導入を検討しているものの、具体的な進め方や費用に不安を感じる企業担当者の方は少なくありません。
そこで本記事では、インフルエンサーマーケティングの基本的な仕組みから、具体的な施策例、予算の目安、成功のポイントまでを詳しく解説します。これから取り組みを始める方も、既に実施している方も、より効果的なインフルエンサーマーケティングを実現するためのヒントとしてご活用ください。
インフルエンサーマーケティングとは
インフルエンサーマーケティングは、SNSで影響力のある人物(インフルエンサー)を活用して商品やサービスのプロモーションを行うマーケティング手法です。
近年、従来の広告手法の効果が低下するなかで、インフルエンサーマーケティングの市場規模は急速に拡大しています。この背景にあるのが、消費者の購買行動の変化です。従来の「AIDMA」(注意→興味→欲求→記憶→行動)から、SNSでの情報収集や口コミを重視する「AISAS」(注意→興味→検索→行動→共有)へと変化を遂げており、企業はこの変化に対応するマーケティング手法としてインフルエンサーマーケティングを採用しています。
特に以下のシーンでは、インフルエンサーマーケティングが効果を発揮するでしょう。
新商品ローンチのプロモーションを行うとき
ブランド認知度の向上を目指すとき
若年層へのアプローチを強化したいとき
商品の使用感や効果の訴求したいとき
イベントやキャンペーンを告知するとき
インフルエンサーマーケティングのメリット
インフルエンサーマーケティングには、従来の広告手法にはない独自のメリットがあります。ここでは、3つのメリットについて詳しくみていきましょう。
広告感がなく自然な形で情報を届けられる
インフルエンサーマーケティングの最大のメリットは、広告としての押し付けがましさを感じさせずに情報を届けられる点です。インフルエンサーは日常的な投稿の中で商品やサービスを紹介するため、フォロワーは自然な形で情報を受け取ることができます。
またインフルエンサーは既にフォロワーとの信頼関係を構築しているため、推奨する商品やサービスは高い信頼性を持って受け入れられるという特徴も。実際の使用体験に基づく率直な感想は従来の広告よりも説得力があり、購買意欲を高める効果があります。
ターゲティングの精度が高い
従来のマス広告と比較してターゲティングの精度が高い点も、インフルエンサーマーケティングのメリットです。
特定のジャンルに特化したインフルエンサーのフォロワーは、そのジャンルに対して高い興味関心を持っています。そのため、ターゲット層の属性や興味関心に合わせて最適なインフルエンサーを選定することで、効率的なプロモーションを展開できます。
さらに、インフルエンサーの投稿履歴や反応率を分析することで、より効果的なターゲティングの実現も可能です。
口コミの連鎖を期待できる
インフルエンサーマーケティングのメリットとして、口コミの連鎖が生まれやすい点も挙げられます。インフルエンサーの投稿はフォロワーによって自発的にシェアされる傾向にあるため、結果的に多くのユーザーに情報を届けられる可能性があるのです。
このような口コミの連鎖はオーガニックなリーチ数の増加をもたらし、広告費用をかけることなく情報を拡散することにつながります。
インフルエンサーマーケティングのデメリット
インフルエンサーマーケティングには様々なメリットがある一方で、デメリットも存在します。以下では、特に重要な3つのデメリットについてみていきましょう。
自社に合うインフルエンサーを見つけることが難しい
インフルエンサーマーケティングの成功には、自社の商品やサービスに適したインフルエンサーの選定が不可欠です。しかし、数多くのインフルエンサーから自社の希望に沿う人材を見つけるのは簡単なことではありません。
インフルエンサーを選定する際は、以下の確認が必要です。
フォロワー数
エンゲージメント率
フォロワーの属性(年齢、性別、興味関心など)
購入されたフォロワーではないかの確認
過去の投稿内容
他社とのコラボ実績
投稿のトーンや世界観
特定ジャンルでの影響力
フォロワーからの信頼度
これらの要素を総合的に判断する必要があるため、選定プロセスには時間と労力がかかります。また適切なインフルエンサーが見つかったとしても、スケジュールの調整や条件の交渉など、実際の起用までには様々なハードルが存在します。
一時的な効果で終わってしまいやすい
インフルエンサーマーケティングは、投稿直後は高い注目を集めることができますが、効果が一時的なものに終わってしまうケースも少なくありません。
SNSのアルゴリズムの特性上、投稿は時間とともにフィードから消えていきます。そのため継続的な効果を得るためには、定期的な投稿や複数のインフルエンサーの起用が必要となるでしょう。
またフォロワーの興味関心は移り変わりやすく、一度の投稿では深い商品理解や長期的な購買行動につながりにくい傾向があります。そのため単発のプロモーションではなく、継続的なコミュニケーション戦略が求められます。
炎上リスクがある
インフルエンサーマーケティングには、常に炎上リスクが付きまといます。特に注意が必要なのは以下のようなケースです。
ステルスマーケティングによる炎上リスク:2023年6月の景品表示法改正により広告であることの明示が義務付けられたものの、表示方法によっては批判を受ける可能性がある
インフルエンサー自身の不適切な発言や行動による炎上リスク:インフルエンサーだけでなく提携している企業のブランドイメージが損なわれる可能性がある。過去の投稿や言動が後から問題視されるケースも
薬機法違反などの法的リスク:商品の効果や性能について過度な表現を使用した場合、薬機法違反として炎上する可能性がある
特に法令違反の場合は、業務停止などの行政命令や、悪質と判断されたケースでは刑事処分が科せられる可能性もあります。
これらのリスクを最小限に抑えるためには、適切なガイドラインの設定と、インフルエンサーとの緊密なコミュニケーションが不可欠です。
インフルエンサーマーケティングの代表的な施策
インフルエンサーマーケティングには、様々な実施方法があります。ここでは、効果的な5つの施策について、それぞれの特徴や実施のポイントを解説します。
ギフティング
ギフティングとは、インフルエンサーに商品やサービスを提供し、その使用感や感想を投稿してもらう施策です。最も一般的なインフルエンサーマーケティングの手法の一つとなっています。
ギフティングの特徴は、インフルエンサーが実際に商品を使用したうえで感想を発信する点です。使用シーンや具体的な使用感を示せることから、フォロワーにより具体的な商品イメージを伝えることができるでしょう。
ギフティングには、無償・有償の2パターンがあります。
PR投稿
PR投稿は、インフルエンサーに対して投稿依頼を行い、商品やサービス・施設などの紹介を行ってもらう施策です。
前述のギフティング(無償)は商品提供のみで投稿は任意となりますが、PR投稿の場合は投稿が確約されており、投稿内容や時期について具体的な要望を伝えることができます。ただしインフルエンサーへの報酬が発生することから、無償ギフティングと比較して高コストとなる点がデメリットです。
商品開発
インフルエンサーと共同で商品を開発する施策も、近年注目を集めています。インフルエンサーの知見や影響力を活かして商品開発を行えば、ターゲット層のニーズに即した商品を生み出すことができるでしょう。
特に効果的なのは、インフルエンサー自身が抱えている課題や、フォロワーから寄せられる要望をもとに商品開発を行うケースです。例えば美容系インフルエンサーであれば、自身の肌悩みをもとにスキンケア商品を開発するようなケースが有効です。
ライブ配信
ライブ配信を活用した商品紹介は、リアルタイムでのコミュニケーションが可能な施策です。視聴者からの質問に即座に回答できる点や、商品の使用感をより詳しく伝えられる点が特徴となっています。
例えば化粧品であれば実際の使用感や発色を、家電製品であればサイズ感や操作性などを詳細に伝えられることから、商品の特徴をより具体的に理解してもらえるでしょう。
アンバサダー契約
アンバサダー契約は、インフルエンサーと長期的な契約を結び、継続的な情報発信を依頼する施策です。インフルエンサーが商品やブランドの顔となることから、「〇〇さんも愛用している商品」というブランドイメージを確立することができます。
特に重要なのは、アンバサダーとなるインフルエンサーが実際に商品やサービスのファンであることです。愛用者としての実感のこもった情報発信は、フォロワーに対してより説得力のある訴求となります。
インフルエンサーマーケティングの費用目安
インフルエンサーマーケティングの費用目安は施策によって大きく異なりますが、ここでは有償ギフティングとPR投稿の費用目安をみてみましょう。
PR投稿の基本的な費用の算出方法は「フォロワー数×フォロワー単価」です。SNSのプラットフォームによって以下のように単価が異なります。
YouTube:4~5円
Instagram:3~4円
TikTok:2~3円
※YouTubeの場合は「チャンネル登録者数×単価」
例えばInstagramで10万フォロワーを持つインフルエンサーの場合、1投稿あたり30~40万円程度が費用の目安です(これに加えて商品の配送料金や訪問などにかかる交通費などが発生する場合も)。
またインフルエンサーマーケティングの費用は、依頼方法によっても異なります。
依頼方法 | 費用 |
インフルエンサーマッチングプラットフォームを利用する場合 |
|
インフルエンサーマーケティング代理店に依頼する場合 | ディレクション費用: |
なお、これらの費用はあくまでも目安であり、インフルエンサーの人気度や専門性、自社での対応範囲によって大きく変動します。また長期契約や複数回の投稿をまとめて依頼する場合は割引が適用されることもありますので、詳細な金額を知りたいときは問い合わせを行いましょう。
企業がインフルエンサーマーケティングを成功させるポイント
最後に、企業がインフルエンサーマーケティングを効果的に実施するためのポイントについて、3点から解説します。
インフルエンサーマーケティングの目的を明確化する
インフルエンサーマーケティングを成功させるためには、まず目的を明確にすることが重要です。「とりあえずインフルエンサーを起用してみる」という漠然としたアプローチでは、効果的な施策を展開することができません。
「新商品の認知度向上」「ブランドイメージの確立」「商品の使用方法の訴求」というように目的が明確になれば、それに応じて適切なインフルエンサーや投稿内容などを決定できるようになるでしょう。
インフルエンサーの個性を尊重する
インフルエンサーマーケティングでは、インフルエンサー自身の個性や世界観を尊重することが重要です。過度な指示や制限は、かえって投稿の自然さを損ない、フォロワーの共感を得られにくくなる可能性があります。
商品の訴求ポイントを明確に伝達したうえで、インフルエンサーの表現方法や世界観を活かした投稿をお願いするようにしましょう。
効果測定と改善を行う
インフルエンサーマーケティングの効果を最大化するためには、適切な効果測定と継続的な改善が不可欠です。具体的な数値をもとに施策を評価し、次回の施策に活かすことが重要となります。
効果測定の主な指標としては、以下を設定するとよいでしょう。
リーチ数
エンゲージメント率
クリック数
コンバージョン率
売上への貢献度
これらの効果測定をもとに、インフルエンサーの選定基準の見直しや投稿内容・形式の最適化、投稿タイミングの調整などを行うことで、より効果的なインフルエンサーマーケティングの実現が可能となります。
インフルエンサーマーケティングで競合との差別化を図ろう
インフルエンサーマーケティングは、適切な戦略と実施体制があれば、高い効果が期待できるマーケティング手法です。自社と相性の良いインフルエンサーを選定し、効果測定を行いながら施策を回していくことが、成功のポイントとなります。
本記事で紹介した内容をもとに、インフルエンサーマーケティングに取り組んでみてはいかがでしょうか。
インフルエンサーマーケティングに役立つ情報を掲載するメディア『VLINK MAG』の編集部です。